本研究では,公立小学校教師1名を対象として,授業者の視線から撮影・記録した映像をもとに,授業中の教師の視線傾向や意図を継時的に振り返る授業リフレクションの試行と評価を行った.その結果,教師の視線に焦点を当てた授業リフレクションは,授業中に教師が無意識で行っている教授行動の意図の表出や,授業中の子どもの様子を教師自身の視線を通して対象化することに寄与するという特徴があることが明らかになった.また,教師の視線から撮影された映像に資料的価値が認められた一方で,その利用目的を明確にしておく必要性があるといった課題が示された.