鉄道輸送障害時の旅客案内サービスの改善に向け,車掌が状況に即した臨機応変なアナウンスができるようになる適応的熟達を促す訓練手法を提案した.本手法は適応的熟達を促す鍵となるメタ認知に,①輸送障害時のアナウンス業務という課題についてのメタ認知的知識の教授,②アナウンス文を構成する方略についてのメタ認知的知識の教授,③方略の使用に関するメタ認知的活動の支援,の3段階で働きかける.本手法を車掌訓練に試用し,その前後に受講者に質問紙調査とアナウンス実技試験を行った.その結果,訓練は方略や受講者の課題についてのメタ認知的知識の主観的理解度や,案内の臨機応変さを高めるのに有用であることが示された.