本研究では,高校における反転授業導入時の授業をデザインする際の留意点および具体的な手立てを提示するため,生徒の学習行動変容を促すための実践を調査した.X 高校で反転授業を導入したA 教諭へのインタビューを分析した結果,生徒には【教員が主導権を持つ授業】の中で,【教員に従う学習】や【グループワークに不慣れ】という傾向性が見られた.A 教諭はその対応として,「授業で構成された生徒の傾向性を考慮し,その要素を反転授業内に埋め込み漸次的な変化を促すこと」を導入時の授業をデザインする際の留意点とし,それに基づいて①学習課題の遂行プロセスを学習者が迷わないように学習手順を明示すること,②これまでの学習方法および内容に合わせた難易度を設定すること,③安心感を与える添削を行うこと,④話しやすい学習者同士などグループ構成を工夫すること,の4点を具体的な手立てとしていたことが分かった.