2019 年 43 巻 1 号 p. 53-63
本研究では,異学年集団での学習活動に対する積極的な参加が促される心理的プロセスについて,協同的な学習に対する動機づけとピアモデリングの点から検討した.縦割り学級で問題解決型の学習活動を実践している小学校において,児童を対象とする調査を行った.パス解析の結果,協同的な学習に対する自律的動機づけが,学習活動における積極的参加構造の認知に影響することが示された.また,中学年の児童においては,協同的な学習に対する自律的動機づけが異学年の級友に対するピアモデリングを介して,積極的参加構造の認知を促していた.高学年の児童においては,協同的な学習に対する統制的動機づけが積極的参加構造の認知を低めることが示された.以上の結果から,異学年集団での学習活動における動機づけとピアモデリングの重要性と,児童の学年によって異学年集団での学習に対する積極的な参加を支える要因が異なっている可能性が示された.