本研究の目的は,小学校教員の理科指導に対する不安,教師効力感,学習動機が教員歴によってどのように推移するのかを明らかにすることである.そのため,現在,学級担任をしている小学校教員を対象に,質問紙を用いた横断的調査を実施した.得られた488名のデータを分析した結果,理科指導に対する不安は全体的に教員歴が増すと低下する傾向があること,下位尺度に着目するとどの教員歴でも理科の専門的知識に対する不安の平均値が最も高いことが示された.また,教師効力感は教員歴4〜6年で一度下降する傾向にあるが,その後,教員歴とともに上昇する傾向が示唆された.さらに,教科指導学習動機の自律的動機である内発的動機は教師効力感に対して正の影響を与えるが,同じ自律的動機である熟達志向は教師効力感に対して負の影響を与えることが示された.