2021 年 44 巻 4 号 p. 387-408
本研究では,理工系女性のキャリア形成とwell-being の関係について,現在社会で活躍している理工系女性に実施されたアンケートデータに基づきLatent class trees を用いてモデル化を行い,検討を行っている.LCT を用いて潜在クラスの木構造化を行うことで理工系女性のタイプ分類を行い,算出した各クラスの各変数の回答確率に基づいた平均回答に対し,ウォード法を用いたクラスタリングを行うことでモデル全体における変数の分類を行うことを提案し,仮説を与えるのではなく,データから導かれた各変数群(潜在変数)と各潜在クラスの解釈をシステマティックに行うことを容易にした.分析の結果,8タイプに分類され,階層的に比較しながらタイプを解釈し,更に,学部卒業者・大学院修了者,子育て経験の有無の2つの視点から比較検討を行うことで,理工系女性のキャリア形成とwell-being の関係性のより詳細な把握を行うことが出来た.