2021 年 44 巻 4 号 p. 497-511
本研究の目的は,1人1台のタブレット端末を活用した情報活用能力を育成する授業設計の留意点の提案である.この目標を達成するため,情報活用の場面を教育活動に応じて7つの区分に分け,公立小学校第6学年を対象として,1人1台のタブレット端末を活用した社会科の授業実践に取り組んだ.1学期は児童が自ら情報を収集し,整理,分析する「考える授業」,2学期は分析の結果を生かす「表現・伝達」をゴールに見据えた「探求的な学習」に取り組んだ.4回のスキル調査や評価テスト,5回のワークシートの内容や文字数の調査で,授業実践による児童の情報活用能力の変容を測り,分析を行った.その結果,ICT スキルや学習に対する力や意識を含め,情報活用の6つの場面で有意な向上が見られ,本授業実践の学習支援や3つの授業形態が有効であることが明らかとなった.ここから「情報活用能力」を育成する授業設計における留意点を提案した.