2022 年 46 巻 Suppl. 号 p. 105-108
合奏活動における指揮法の技術を独学するにあたって,学習者は初学者であるほど指揮の良し悪しを客観的に自己評価することが困難である.本研究では,指揮者向けの教材のひとつ『指揮法教程』(斎藤メソッド)に着目し,斎藤メソッドで最も基本的な指揮動作「1拍子の打法 (叩き)」を題材とする独習支援システムを開発した.3軸加速度センサーを用いて学習者の指揮運動を計測し,1拍あたりの指揮の型の正しさという観点と正確なテンポで指揮し続けられるかという観点で診断した結果を提示することで学習者に指揮動作の自己矯正を促す.そして指揮の経験者・未経験者を対象とする学習実験の結果からシステムを用いた独習の課題を明らかにした.