2022 年 46 巻 Suppl. 号 p. 121-124
本研究では,小学校3年生の算数授業のグループ学習において,話し合いを構造化する授業実践型相互教授(Reciprocal Teaching in the Classroom;以下RTC)に加え,社会的に共有された学習の調整(Socially Shared Regulation of Learning;以下SSRL)の視点で,自分達の学び合いを振り返らせた授業デザインの効果を検討した.RTC に加えSSRL の視点で自分達のグループ学習を振り返らせた介入群と,RTC のみの対照群を比較した結果,介入群児童のSSRL の4つの視点(協力・配慮行動・援助要請・援助提供)の活用に対する自己効力感が有意に高かった.また,記述統計から介入群児童の学業達成度の平均が高く,「グループの中で友達への教え方が一番うまい児童」の間接的調整発話(友達の考えを意図的に引き出そうとする質問等)が多いことが示された.