日本食品化学学会誌
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論文
田七人参の茎、葉の有効活用の研究 : 田七人参の茎と葉の降圧効果、毒性および安全性の評価
矢内 和博佐藤 和正山崎 直樹増田 修一池田 雅彦木苗 直秀
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2014 年 21 巻 3 号 p. 179-186

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抄録

中国の特産である田七人参茶(TGT)はその地上部の茎と葉から作られた。田七には主要成分としてサポニンが含まれる。オスの脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)において昇圧期(6週齢以降)以降に4% TGTを飲用させることで、収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)の上昇を有意に抑制した。一方、血圧が正常なWister Kyotoラット(WKY)にはSBPおよびDBPに影響は見られなかった。これらの結果を、テレメトリーシステムを用いて評価した。サポニンは2つのグループに分類される。一つは血圧を下げる作用を持つ20(s)-protopanaxadiol (PPD)群で、ジンセノサイドRb1、Rc、Rb2、Rb3およびRdを含む。もう一方は、血圧を上げる作用を有する20(s)-protopanaxatriol(PPT)群でジンセノサイドRg1、Reを含む。これらは相反する作用を示す。さらに、田七人参の根茎部にはPPD群およびPPD群のサポニンが両方とも含まれるのに対し、TGTにはPPD群のサポニンのみが含まれる。また、さらにTGTを用いた安全性評価をAmes試験で、また毒性評価試験を急性毒性試験で行った。その結果、変異原性は認められなかった。また半数致死量は体重1kgあたり2000mg以上であることが分かった。本研究より、田七人参の地上部には血圧降下作用が期待でき、かつ安価な健康食品として提供できる可能性を示唆するものである。

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© 2014 日本食品化学学会
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