日本食品化学学会誌
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過酸化ベンゾイルの循環器系に及ぼす影響
権 寧美籠田 智美山口 優中村 一基篠塚 和正国友 勝
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1999 年 6 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

1. ラット循環器系臓器、即ち心房、胸部大動脈および腸間膜動脈に対する過酸化ベンゾルイルの影響について検討し、併せてラットの拡張期血圧、収縮期血圧、脈圧および心拍数に対する過酸化ベンゾイルの影響についても検討を加えた。 2. ラット摘出心房の収縮力および心拍数に対し、過酸化ベンゾイル(10-6〜10-4g/ml)はそれ自身で有意な影響を及ぼさなかった。 3. ラット摘出胸部大動脈において、過酸化ベンゾイル(10-6〜10-4g/ml)はそれ自身で有意な影響を及ぼさなかったが、10-5g/mlの濃度において、ノルアドレナリンによる収縮反応とアセチルコリンによる弛緩反応を有意に抑制した。 4. ラット摘出腸間膜動脈において、過酸化ベンゾイル(10-6〜10-4g/ml)は直接的な作用を示さず、また、10-5g/mlの濃度においても、ノルアドレナリンによる収縮反応に有意な影響を示さなかった。また、アセチルコリンによる弛緩反応に対しても著名な影響を示さなかった。 5. ラットの収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍および心拍数に対し、過酸化ベンゾイルは0.1mg/kg(i.v.)および1.0mg/kg(i.v.)の用量において有意な影響を与えなかった。また、大腿動脈における血流量、流速に対する影響も全く観察されなかった。 6. 以上の結果から、過酸化ベンゾイルは高濃度の時に摘出管に対して抑制的な影響を及ぼすことが明らかにされ、大量摂取の後には過酸化ベンゾイルが血圧調節機構や局所血流調節機能に対し、抑制的な影響を及ぼす可能性のあることが示唆された。

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© 1999 日本食品化学学会
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