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森林立地
Vol. 57 (2015) No. 1 p. 19-31

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http://doi.org/10.18922/jjfe.57.1_19

  • 抄録

噴火後1年半程度の期間に,火山噴出物がどの程度直下の土壌に影響を与えるかを調べるために,2011年1月に噴火した新燃岳の火口から3km程度の地点に5ヶ所のプロットを設定し,火山噴出物と直下の土壌の物理性と化学性の経時変化を調べた。火山噴出物は概ね薄い細粒質の火山灰層と厚い粗粒質の軽石層から構成されていた。これらに含まれる水溶性イオン類や硫黄含有量などは過去の国内の火山灰より相対的に少なかった。水溶性イオンについては,陰イオンでは硫酸イオンが,陽イオンではアンモニウムイオンが優占していた。いずれの層位でも時間の経過にともなって細土中の粘土含量が上昇する傾向があり,粘土の移動が起こっていると考えられた。各堆積物の層厚や全窒素・炭素量,塩基交換容量や交換性塩基量などの経時的変化は少なかった。水溶性硫酸イオンとアンモニウムイオン,全硫黄や可給態リンなどの濃度は時間経過とともに減少する傾向が認められるものの,サンプリング時期によるばらつきが大きく,その傾向は明瞭ではなかった。2011年8月のサンプルではリン酸吸収が認められなかったのに対し,2012年9月の1年半後のサンプルではリン酸吸収が認められ,それと同時にシュウ酸可溶アルミニウムの濃度上昇とピロリン酸可溶アルミニウム/シュウ酸可溶アルミニウム比の上昇が認められた。土壌への物質負荷は,薄い細粒質の火山灰層より厚い粗粒質の軽石層からの方が大きく,時間経過とともに軽石層からの物質負荷量の寄与が相対的にさらに大きくなる可能性が指摘できる。

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