森林立地
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論文
放射性セシウム沈着量の異なる林分から採取したスギの葉と材のセシウム,ルビジウム,カリウム含有量
長倉 淳子安部 久張 春花高野 勉高橋 正通
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2016 年 58 巻 2 号 p. 51-59

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抄録

スギにおけるセシウム(Cs)の経根吸収と樹体内での動態を明らかにするために,福島県の4つのスギ林分(川内,上川内,大玉,只見)から伐倒したスギ成木について,葉と材の安定セシウム(133Cs),ルビジウム(Rb),カリウム (K)含有量を測定した。4つの林分の放射性Cs沈着量は異なり,川内> 上川内> 大玉> 只見である。133Cs,Rb,K含有量は,旧葉より当年葉で高く,辺材より心材で高かった。また,小さい個体は大きい個体よりも133Cs,Rb,K含有量が低い傾向がみられた。これらの結果から,スギは心材にCsを蓄積する性質があり,成長の旺盛な個体ほど蓄積しやすいことが示された。旧葉の133Cs含有量と心材および辺材の133Cs含有量には比例関係がみられたことから,葉の133Cs含有量から材の133Cs含有量を推定することが可能だと考えられた。葉と材の133Cs含有量は調査林分によって異なり,只見と上川内は,川内と大玉に比べて葉と材の133Cs含有量が高く,また表層土壌の交換性K含有量はやや低かった。土壌の交換性133Cs含有量は只見で高かった。土壌の交換性K,133Cs含有量が,133Csの経根吸収と樹体内の動態に影響していると考えられた。

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© 2017 森林立地学会
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