森林立地
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ヒノキ人工林間伐時の下層植生の刈り払いが林床植生の発達に与える影響
山岸 極伊藤 哲 平田 令子
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2022 年 64 巻 1 号 p. 13-21

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抄録

間伐時の下層植生の刈り払いが林床植生の発達に及ぼす長期的な影響を明らかにすることを目的として,同一ヒノキ人工林内に間伐と低木層を含む下層の刈り払いを組み合わせた4つの処理区を設定し,処理後3年目と8年目の林床植生の被度,種数および種多様度指数を処理間で比較した。その結果,林冠木の除去と下層刈り払いを組み合わせた通常の間伐処理区では,調査期間中の被度,種数,種多様度が他の処理区と比較して高かった。下層刈り払いのみの処理でも植生の発達が認められ,処理8年後の被度および種数は間伐のみの処理区よりも高くなった。一方,低木層を保残し間伐のみを行った処理区では調査期間中の被度や種多様度の変化は認められず,被度は調査期間を通して無処理区と差がなかった。これらの結果から,間伐時の林冠木の伐採だけでは長期間の林床植生の発達は期待できないこと,および長期的な林床植生の繁茂や種多様性の増加を目的とする場合は,間伐時の下層植生の刈り払いは効果的であることが示唆された。

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