2000 年 15 巻 1 号 p. 19-24
自然環境と共存・調和した林道を計画・開設するためには,森林空間の詳細な構成を計量的に,しかも的確に把握した上で,損傷の可能性を事前に予測し,防止策や代替案について総合的に判断しながら路線選定を行うことが必要である。本論文では,オルソフォト(正射写真)とDTMを主な資料として,パソコンによる画像処理の手法を用いて,建設技術と国土保全の見地からの必要条件を満たし,同時に周辺環境にできるだけ影響を与えない林道(エコ林道)の簡便な路線選定法について検討した。資料をもとに林道の開設による影響を緩和する必要がある箇所(ミティゲーションエリア)と道路を建設する上で不適当な箇所(危険エリア)をゾーニングし,それらと計画路線との位置的・面積的検討を行うことによって環境に配慮した路線の選定を試みた。その結果,本手法を用いることにより多くの労力と時間が必要であった作業を簡略化することができ,視覚的に,しかも総合的に林道開設予定地周辺の立地条件を把握し,エコ林道の路線選定を簡便に行うことが可能となった。