森林利用学会誌
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論文
土層構造の類型化に基づく切取のり面の安定性
程 培峰後藤 純一趙 文美
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ジャーナル オープンアクセス

2002 年 17 巻 1 号 p. 3-14

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抄録

山岳地に開設された道路はのり面の崩落や崩壊によって,開設後の維持管理に負担を伴うことを避けなければならない。高密度に開設された作業道の切取のり面を対象に,切取り土層の安定性を判定することを目的として,地形調査と土層構造の調査,またのり面の形状調査を3路線67か所において実施し,安定斜面と損壊斜面に分類した。簡易貫入試験器を用いた土層調査の結果から,土層構造を5つの類型に区分した。厚さ50cm未満の崩積土層が基盤を覆っている類型では基盤勾配,土層深さおよびのり高によって安定性を正準相関係数0.85で判別した。厚さ50cm以上の崩積土層と風化土層からなる類型については,土質試験を実施し,粒度試験から求めた粒径2mm以下の土粒子に含まれる細粒分の重量割合と土層深さによって安定性を正準相関係数0.78で判別した。自然条件の関与が土層構造によって異なることが明らかとなり,土層構造の特性に対応した切取のり面の安定性を評価することの有効性を示した。

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