2003 年 18 巻 3 号 p. 159-165
林道開設に伴う流出土砂の制御に関しては,これまで植生による裸地の減少と関連付けて検討されることが多かった。細粒土流出の発生源は主として,林道の路面,切取り斜面,盛土斜面部ではあるが,路面の場合,基本的には舗装によって制御する工法がとられる。本研究では,路面の粗レキが細粒土の制御に果たす効果を浮遊砂流出のメカニズムを通して検討し,かつ路面の残存細粒土量から流出最大濃度の推定を行った。その結果,粗レキを含んだ場合,浮遊砂の流出メカニズムは細粒土のみの状態と異なり,流出量は少なくなることを明らかにした。浮遊砂の流出速度は流出量のベキ乗に比例する形をとることを示した。さらに,流量のベキ乗の変化はレキの混合量によって異なることを示した。面積あたりのレキ混入率で表した場合,約50%のときに最小となり,レキの最適な敷設状態を示すことができ,この値を境にレキが少なくても多くても流出濃度は高くなることを示した。さらに,最大流出量の推定は路面の残存細粒土量およびレキ混入量との関係から可能となった。