森林利用学会誌
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論文
製材工程で発生する木質バイオマスのエネルギー利用と二酸化炭素削減の可能性
川島 義紀岩岡 正博峰松 浩彦
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ジャーナル オープンアクセス

2004 年 19 巻 1 号 p. 43-48

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抄録

本研究は,製材所で発生する木質バイオマスのエネルギー利用の可能性と,二酸化炭素削減効果を明らかにすることを目的として,製材所で発生する木質バイオマスの量と製材品の乾燥に必要な熱量から二酸化炭素削減量を算出した。二酸化炭素削減量は,木質バイオマスによって代替される化石燃料から発生する二酸化炭素量とした。製材所で発生する木質バイオマスのうち,樹皮の発生量は樹皮剥ぎ工程で実測し,残廃材の発生量は素材入荷量と製材品出荷量の差から求めた。また,製材品の乾燥に必要な熱量は聞き取り調査で得た。この結果,製材所で発生する木質バイオマスから得られる熱量は,樹皮の含水率と原木に対する残材発生率によって変化するが,製品として出荷しているチップも燃料とすることによって,製品の乾燥に必要な熱量のすべてを得られることがわかった。このとき二酸化炭素排出削減量は,素材入荷量100m^3あたり8.6tとなる。すなわち,平成12年度の日本の製材用素材入荷量2,652万m^3すべてを同様に処理すると削減量は約230万tとなり,日本が京都議定書で義務付けられている削減量7,400万tの約3%にあたる。

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© 2004 森林利用学会
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