森林利用学会誌
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論文
枝認識システムを有する枝打ロボットのための小型な切断機構の開発
横山 卓郎千葉 正弘新井 義和曽我 正和
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 22 巻 2 号 p. 51-60

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抄録

著者らは,個々の枝を検出し,その位置を認識した上でそれらを枝打ちする枝打ロボットを開発している。本論文では,樹木の損傷を軽減することを目的とした小型な切断機について検討し,枝に対する各種切断機の切断能力の比較を行う。比較対象の切断機は,主に工業分野で用いられるルーター刃,エンドミルおよびラフィングエンドミルである。いずれも形状が類似しており,小型化の可能性はほぼ同等であるが,刃の配置の違いから,枝の切断時の抵抗に相違が予想される。より小型でかつ軽量な切断機構を開発するために,実験によってそれらの抵抗を明らかにする。結果としては,ルーター刃よりもエンドミルの方が小さい抵抗(直径12mm,進行方向に約60N)で枝を切断できることを確認した。また,ラフィングエンドミルはエンドミルよりも抵抗の振動が少ない(直径12mm,進行方向の振動幅約40N)ことを明らかにした。以上から,実際の枝に対する切削抵抗が最も小さく,限られた動力で効率的に切断可能である切断機として,ラフィングエンドミルを導出した。また,ラフィングエンドミルを搭載した切断機構を開発し,森林における切断実験を通してその有用性を示した。

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© 2007 森林利用学会
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