森林利用学会誌
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論文
受口切りの不一致やツル幅の不均一が伐倒方向と作業の安全性に及ぼす影響
上村 巧岡安 崇史井上 英二加利屋 義広岡 勝鹿島 潤
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2010 年 25 巻 4 号 p. 207-214

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抄録

受口切りの不一致やツル幅の不均一が,伐倒方向と作業の安全性に与える影響を,VTRによる観察と有限要素法を用いた解析によって調べた。受口切りの不一致の生じた伐倒木については,VTRの観察から傾きが少ない段階でツルが急に破断し,伐倒方向が制御できなくなることが確認された。また,有限要素法による解析では,追口高さが低い場合に裂け上がりが起こりやすくなり,危険であることが明らかとなった。ツルの保全目的で低い追口を切る場合には受口切りの不一致は決して起こしてはならない。ツル幅の不均一な伐倒木について,VTRによる観察から必ずしもツル幅の厚い方へ引かれて倒れるとは言えないことを確認した。有限要素法による解析では,不均一な幅のツルが曲がることで伐倒方向と直角方向のわずかな変位が生じることが明らかとなった。しかし,その変位が最終的な伐倒方向に及ぼす影響は不明であり,ツル幅を不均一に変えて伐倒方向を制御することは,不確実であり作業の安全上適切ではないといえる。

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© 2010 森林利用学会
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