傾斜地のヒノキ林内において残存2立木間に発生したかかり木の元口を移動させて処理する際の牽引力を測定し,上方伐倒・下方伐倒別の処理方法の特性について評価した。上方伐倒のかかり木処理に要する最大牽引力の平均値は2.29kN.下方伐倒では4.08kNと上方伐倒の方が有意に小さかった(p<0.05)下方伐倒についてはそのまま伐倒方向に引き倒す場合と処理に要する最大牽引力は小さかったが(p<0.05)下方伐倒についてはそのまま伐倒方向に引き倒す場合と処理に要する最大牽引力には有意な差が認められなかった。処理に要する仕事の平均値では上方伐倒では1.56(kJ)下方伐倒で6.70(kJ)と上方伐倒の方が小さかった(p<0.1)。伐倒方向へ引き倒す場合の仕事の推定値との比較では,元口移動による処理法の優位性は確認できなかった。