木質バイオマス発電施設への材供給の一手段として,高知県西部では放置薪炭林などの未利用広葉樹林を皆伐し回帰年を設定して天然更新により循環利用する方式が検討されている。その試験事業として約10haの海岸性広葉樹林を試験地として設定し,皆伐後架線により集材して材を木質バイオマス発電施設に供給する作業が行われた。試験地の平均蓄積は標準地法により約300m3/haと推定された。事業では4か月間で試験地のうち約3haから572tの材が搬出されたが,土場までの平均搬出経費は架設と伐出で12.0千円/tであったのに対し,枝条を含めた材からの収入は丸太形状のみで4.8千円/t,枝条も含めた総平均で3.7千円/tと,大幅な赤字となった。平均功程は伐出のみで2.6t/人日,架設を含めて2.1t/人日で,収支が均衡するためには生産性を2~3倍とする必要がある。集材作業では特に散在する全木材の横取りに時間を要したことが生産性が低くなった原因と考えられた。一定の径級以上の材のみを集材対象とすることで数割の生産性向上の可能性が推察された。