森林利用学会誌
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速報
オペレータの習熟度に応じた荷役作業における効果的な荷つかみ本数について
山口 浩和上村 巧毛綱 昌弘加利屋 義広
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2016 年 31 巻 4 号 p. 163-

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抄録

さまざまな習熟レベルのオペレータを対象に,グラップルローダを使った丸太の積み込み作業における荷つかみ本数と作業所要時間との関係を調査した。積み込み作業には,グラップル面積0.16m2のグラップルおよび平均径13.8cmの丸太2.35m3を使用した。作業所要時間の違いにより観察データを「作業が速い」(20分未満),「作業がやや速い」(20~30分),「作業がやや遅い」(30~40分),「作業が遅い」(40分以上)の4つのグループに分類し,それぞれの特徴を分析した。その結果,「作業が速い」「作業がやや速い」,グループでは荷つかみ本数が多いほど生産性が向上し,最大荷つかみ本数は13本であった。一方,「作業が遅い」,「作業がやや遅い」グループでは,生産性が最大値となる本数は,それぞれ9.0本,5.7本と試算され,多くの丸太をつかみすぎると逆に生産性が低下する傾向を示した。生産性が低下した要因には,しっかり材が保持されていないために実移動中に荷崩れが起こり修復作業に時間を要したこと,荷台上で材が散らばることにより材を整列させるために時間を要したことなどが挙げられる。これらのことから,習熟度の低いオペレータでは,積み込み作業時にそれぞれの技術レベルに応じた荷つかみ本数で作業を行うことにより,生産性が高まる可能性がある。

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