森林利用学会誌
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論文
黒色土における林内走行の影響
ホイール式車両を用いたCTLシステムの事例
鈴木 秀典中澤 昌彦佐々木 達也上村 巧吉田 智佳史陣川 雅樹戸田 堅一郎大矢 信次郎髙野 毅近藤 道治
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2017 年 32 巻 3 号 p. 123-130

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抄録

黒色土を対象として,ホイール式車両を用いたCTLシステムで間伐作業をした際の機械走行の影響を調査し,林内の締固めを明らかにした。作業ではホイール型のハーベスタ,フォワーダを使用し,点状および列状間伐を実施した。機械走行回数はハーベスタよりもフォワーダの方が多くなる傾向がみられ,列状間伐のフォワーダにおいて特に走行回数が多くなった。これは,フォワーダは満載になるたびに土場まで戻る必要があることに加え,列状間伐では,走行経路が伐採列に固定されることによる。走行による締固め程度をコーンペネトロメータで計測したところ,少ない走行回数では土壌硬度の増加がみられたものの,走行回数がさらに増えると,一部で泥濘化によると思われる土壌硬度の低下がみられた。また,土壌硬度の増加は,既存の報告よりも深い15cm から20cm にみられた。走行から2 年後の計測では,締固めの影響が回復しておらず,泥濘化によって土壌硬度が低下した箇所では土壌硬度の増加が確認された。泥濘化による土壌硬度の低下は一時的なものと考えられ,走行の影響を評価するためには,走行直後ではなく,時間が経過してから土壌硬度を計測する必要があると考えられる。

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