皆伐と再造林を一連の作業として行う伐採・造林一貫作業が全国各地で実施され始め,皆伐時に使用した伐出機械を地拵え等に利用することにより,再造林作業の効率化とコストの低減が期待されている。本研究では,長野県の皆伐地4 か所の緩傾斜地から中傾斜地において,バケットおよびグラップルローダによる機械地拵え作業を行い,その生産性とコストについて人力地拵え作業と比較した。その結果,同試験地・同傾斜の人力作業と比較して,両機械による地拵えの労働生産性は約2~12 倍に増加,コストは14~90% に減少し,コスト削減効果が認められた。枝条量が少ない場合は両機械ともコスト削減効果が高い一方,枝条の量が多い場合は特にグラップルでは低コストになりにくいことが示され,機械地拵えのコストには枝条量が大きく影響していた。また,バケット及びグラップル地拵えの生産性と傾斜及び枝条層積の関係から重回帰式を求め,伐採前の林況から皆伐後の枝条量を推定した結果,バケット地拵えの生産性は予想枝条量と傾斜から皆伐前の予測が可能と考えられた。