森林利用学会誌
Online ISSN : 2189-6658
Print ISSN : 1342-3134
ISSN-L : 1342-3134
研究・技術資料
森林産業における木材輸送費用最小化に対するメディアン型アプローチ
瀧 誠志郎稲川 敬介高田 克彦
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 34 巻 3 号 論文ID: 34.137

詳細
抄録

日本は国土の約68%が森林で覆われている世界有数の森林大国であるが,1970年代以降,森林産業は急激に衰退した。これを受けて本研究では,森林産業に貢献する情報技術の応用を試みる。森林の業界において,多くの場合,伐採された木材は山土場と呼ばれる一時的な集積所に集めて,そこから大型トラックで輸送するのが一般的である。本研究ではこの山土場の位置を適切に決定することにより,木材の輸送費用をできるだけ少なくするモデルを提案する。モデルは,オペレーションズ・リサーチの手法のひとつであるP-メディアン問題を適用する。P-メディアン問題は,児童の歩行距離を最小にするような小学校の場所の選定などに応用される枠組みである。本研究においては児童の歩行距離を木材の輸送費用とみなすことにより,輸送費用を最小にする山土場の選択に応用する。モデルの実現に必要な木材量や輸送距離は,秋田県の森林に関する地理情報システム(森林GIS)から得ることができ,実際のデータを用いた数値実験例も紹介する。このような情報技術の活用方法を提示するにより,森林産業の発展に資することを目的とする。

著者関連情報
© 2019 森林利用学会
前の記事 次の記事
feedback
Top