2020 年 35 巻 1 号 論文ID: 35.7
森林作業道の自動走行における走行可能領域判別のために,深層畳み込みニューラルネットワークを用いたセマンティックセグメンテーションの適応性を評価および検討した。本研究では深層畳み込みニューラルネットワークを用いたセマンティックセグメンテーションとして最も一般的な手法である完全畳み込みネットワークについて検討を行い,作業道を撮影した画像をデータセットとして用いた。車道クラス,背景クラス,車道クラスと背景クラスの間にあたるバッファクラスの3 クラス分類を行った結果,96.7 ~97.2%と高い総合精度が得られた。これらの結果より,先行研究のある一般道路での検出結果と同程度の精度での検出が可能であることを示した。個別クラスでは,車道クラスの適合率が96.7 ~97.5%,バッファクラスの適合率が67.4 ~71.6%,背景クラスの適合率が98.5 ~98.6%であり,本研究で用いたモデルによるバッファ部分の高精度の検出は困難であることが示唆されるものの,車道クラスは高精度で検出が可能であり,車両が通行可能な十分な道幅が確保されている場合であれば本研究で提案した手法による作業道のローカル経路設定が可能であることが示された。