森林利用学会誌
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速報
軽架線用手動式係留搬器の性能評価
𠮷住 亘平矢部 和弘千原 敬也今冨 裕樹
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2020 年 35 巻 2 号 論文ID: 35.103

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抄録

小規模林業では簡易な手段による間伐材搬出等を通した森林整備が行われており,架線集材の場合には構造が単純で容易に架設できる主索式軽架線が用いられることが多い。主索式軽架線では搬器本体と吊り荷を確実に係留することで土壌攪乱など林地への被害や吊り荷滑落などの労働災害を防止できるため,軽量かつ架設や作業時の操作が簡単な軽架線用手動式係留搬器が開発された(矢部ら2019)。開発された搬器の性能評価のために集材試験を行った結果,1サイクルの平均所要時間は上げ荷293.6 ± 16.6 sec(平均値±標準誤差;n = 10),下げ荷278.7 ± 17.9 secとなり,下げ荷集材でも使用できる可能性があることが示された。吊り荷に近寄らなくても作業できるように改善され,動作自体も一通り動くことが確認されたが,実験中に横取りと引上げでローディングブロック係留不良によるタイムロスが多く発生したため,改良してタイムロスを改善する必要があると考えられる。この結果を踏まえて今後,小規模林業の活性化をはかるためにも現場試験を繰り返し,軽架線用手動式係留搬器の実用化をめざす。

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