森林利用学会誌
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速報
ドイツにおける林業事業体の作業種認定制度とチェーンソー技能認定制度の実態
滝沢 裕子伊藤 幸男山本 信次林 雅秀
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2023 年 38 巻 1 号 論文ID: 38.43

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抄録

本稿の目的は,ドイツにおける林業事業体の作業種認定制度と林業労働者のチェーンソー技能認定制度(以下ECC)の実態の解明である。結果は次の3点である。1点目は,PEFC及びFSCは事業体に作業種認定を,労働者にチェーンソー技能の証明を義務付けていた。これは,認証林が森林面積の約8割を占めるドイツにおいて,多くの事業体が作業種認定を取得する必要があることを意味する。そして,外国人労働者の増加を背景にFSCは制度を強化し,チェーンソー作業を行う者へECCの取得を義務付けていた。2点目は,作業種認定は事業体が作業種別に取得するものであり,事業体の受託形態を反映している認定であることが明らかになった。3点目は,ECCはヨーロッパを中心に展開しており,レベルに応じて4段階に設定されていた。乾燥や虫等の被害木処理といった高度なチェーンソー技能を有する証明として最もレベルの高いECC4が設定されているが,ドイツにおいてはECC4の取得者が9割以上を占めていたことが明らかになった。しかし,ECC4の取得までにかかる費用は林業労働者の平均月給を超え,労働者にとって金銭的負担が大きいことが示唆された。

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