森林利用研究会誌
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論文
中国製高把式チェーンソーの作業特性 : 低把式との比較
孔 徳剛藤井 禧雄
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1995 年 10 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

高把式チェーンソーの作業特性を明らかにするために,中国製高把式2機種と中国製ならびに日本製低把式2機種を用いて,伐倒,玉切りを模した実験および林道上での保持歩行実験を行い,被験者の心拍数と前腕の筋電パルスを計測し,それらの作業特性と問題点を比較検討した。その結果,4機種の重量を同一にした条件下で,以下の点が明らかになった。伐倒作業において,高把式は,より自然な姿勢で鋸断作業が行え,また,左手と右手の握力のバランスが良く,作業者の心拍増加数,筋電パルスとも低く,低把式と比較して優れた作業特性を示した。しかし,玉切り作業では,高把式と低把式との心拍増加数に有意差が認められず,伐倒作業で見られたほどの優位性は認められなかった。また,チェーンソーの保持歩行の場合,高把式ハンドル部の構造により,バランス良く把持できる形式とできない形式とが認められ,筋電パルスに有意差が認められた。そして,本研究で使用された中国製高把式について言えば,日本製低把式と比較して,重量および鋸断性能の点で劣ることが明らかになり,その改善が望まれた。

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© 1995 森林利用学会
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