バイオメカニカル(生体力学)モデルを用いたL5/S1椎間板反力とモーメントを指標として,4種類(10度,20度,30度,40度)の傾斜条件下におけるクワによる植栽作業の腰部にかかる負担を評価した。その結果,平均値では植栽作業は「ふつう」あるいは「重い」作業に分類され,椎間板に障害の起きる危険性が少ないと評価された。しかし,植栽作業中で大きな身体の動きを伴うクワの「大振り」と「小振り」では,最大椎間板モーメントが150Nmを越える「非常に重い作業」に評価され,最大椎間板反力がNIOSH(アメリカ国立職業安全・健康研究所)の示す作業限界3.4kNを越えており,瞬間的ではあるが椎間板に障害を与える危険性を含んでいることが明らかになった。また,椎間板反力とモーメントの平均値は,傾斜の増加とともに減少する傾向が確認された。