2017 年 51 巻 1 号 p. 9-18
高齢のスギ(Cryptomeria japonica)と壮齢のヒノキ(Chamaecyparis obtusa)を対象に航空レーザーデータを利用して点群データから単木の樹冠形状の座標値を抽出した。この樹冠形状データを用いて樹冠形の特徴をパラメータとして表現し,樹冠形に基づいて両樹種を分類することを目的とした。樹冠の先鋭度を表す指標として梢端から半径1.5m 以内の座標点の高さの標準偏差と,樹冠先端の丸みを表す指標として,水平面状で梢端の中心から0.3mと1.3m の2点と梢端が成す角度を考案した。先鋭度の指標(絶対値)が大きいほど樹冠が細長く,丸みの指標が小さいほど先端が丸みを帯びていた。モデリング用サンプルを用いて調整した両樹種の判別関数(正準相関係数=0.675)の分類精度は79.2%だった。検証用サンプルの分類精度は84%で,判別関数はモデリング用サンプルに類似した樹冠形をした樹木については有効と判断された。