2022 年 104 巻 4 号 p. 229-234
野生鳥獣による被害は農業と同様に林業でも深刻となっている。そこで主に広域の森林環境の維持増進を目的とした府県の独自課税(県・環境税)に着目し,その財源が野生動物保護管理の全体像で占める位置を解明すべく,県・環境税を導入している全37府県のレビューと4県の担当者への聞き取り調査を行った。結果,18県で野生動物保護管理に関する事業に県・環境税を活用しており,個体数管理,被害管理,生息環境管理,その他の幅広い領域で活用されていることが判明した。また4県への聞き取り調査では,野生動物保護管理において国による交付金では支援されない領域について,各県が県・環境税を財源として専門指導員の配置など新しい事業や,特定鳥獣管理計画策定に関わる調査等,他の予算ではまかなうことができない事業に取り組むことができるようになったことが明らかとなった。