2018年北海道胆振東部地震による地すべり(テフラ層すべり)で発生した裸地斜面において,カラマツ植栽による森林再生を検討するための試験地を3カ所設定した。表土に粘土化したテフラが認められた高丘B,幌内試験地は,残存テフラが多い高丘A試験地と比べて土壌の透水性が低く,硬かった。透水性の低さおよび硬さは,高丘Bは中程度,幌内は重度に不良であった。各試験地に植栽後3年目において,高丘Bでは,高丘Aと比べてカラマツの樹高,直径,樹高成長量が有意に小さかった。幌内では,高丘Bと比べてカラマツの樹高,直径,各成長量,各成長率が有意に小さかった。これらの結果は,当該地すべりで発生した裸地斜面においては,第一に,粘土化したテフラの透水性の低さおよび硬さがカラマツ植栽木の初期成長阻害要因であること,第二に,粘土化したテフラでは,透水性が低く,硬いところほど,カラマツ植栽木の初期成長は小さくなることを示唆している。