2026 年 108 巻 5 号 p. 122-130
多雪地域では,雪圧によって若齢期に根元曲がりが発生し,材価を低下させる要因となる。本研究では,根元曲がりが発生した2つのアカエゾマツ検定林での調査を通して,根元曲がりの程度が大きい個体群と小さい個体群における材質形質及び成長形質特性の差を明らかにした。また,根元曲がりの程度が小さくなると期待される個体の選抜可能性を育種の視点から検証した。20年次に評価した根元曲がりの評価値が高い,すなわち,根元曲がりが少ない個体群ほど,約30年次に計測したピロディンのピン貫入量の値が有意に低く,20年次の胸高直径(DBH)が有意に大きかった。また,検定林の変量効果を加えた順序ロジットモデルを用いて評価した結果では,ピロディンのピン貫入量の負の効果とDBHの正の効果が検出され,両形質に優れる場合にのみ,高評価値が得られる予測確率が高くなった。ピロディンのピン貫入量とDBHの育種価を算出した場合には,両形質の育種価間の回帰係数が有意な正の値であったため,両形質に優れた個体の選抜効率は低いものの,選抜は可能と考えられた。