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日本森林学会誌
Vol. 92 (2010) No. 6 P 316-323

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http://doi.org/10.4005/jjfs.92.316

総説

スギ花粉症に対する育種的な対策として, 着花量の少ない少花粉, 花粉中のCry j 1量が少ない低花粉アレルゲン性, 花粉を生産しない雄性不稔性に着目した。着花量の少ないスギ精英樹は全国で135クローン選抜された。この性質は複数箇所の検定林で再現性が確認され, 親子回帰による遺伝率も0.34と比較的高い値であった。花粉中のCry j 1量を全国の精英樹420クローンについて調査した結果, 0.38∼10.23 pg/個と大きな変異を示し, その狭義の遺伝率は, 1.0と高い値であった。このことから次世代での選抜効果が顕著に現れると期待された。無花粉になる雄性不稔性は一対の劣性遺伝子支配であることが明らかになり, その遺伝子をヘテロ型で保有した精英樹が4クローン発見された。優良な無花粉スギの作出に向けて, これら精英樹同士の交配家系が育成されている。スギ花粉症対策品種は, 現在, さし木等によるクローン増殖やミニチュア採種園による種子生産が図られており, これらを上手く活用することによって従来の木材生産性を損なうことなく, 花粉飛散量の軽減に繋がると考えられた。

Copyright © 2010 一般社団法人 日本森林学会

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