日本森林学会誌
Online ISSN : 1882-398X
Print ISSN : 1349-8509
短報
葉緑体DNAと核マイクロサテライト変異にもとづく静岡県内ブナ集団の遺伝的系統の推定
片井 秀幸高橋 誠平岡 宏一山田 晋也山本 茂弘加藤 公彦袴田 哲司戸丸 信弘
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 93 巻 2 号 p. 73-78

詳細
抄録

静岡県のブナ集団の遺伝的系統を推定するため, まずブナの分布域全体にわたる55集団を用いて葉緑体DNA (cpDNA) ハプロタイプの地理的分布を調べた。調査した集団にはハプロタイプD, EおよびFの3種類が存在し, 中部地方の太平洋側に分布するDとEが大部分を占めていた。次にブナの分布域および明らかとなったハプロタイプの地理的分布にもとづいて6集団を選定し, 核マイクロサテライト (nSSR) により遺伝的多様性を調査した。nSSR座の対立遺伝子頻度から計算された集団間のDA距離にもとづいた無根近隣結合樹から, 調査した集団は全て太平洋側の系統群に属し, 地理的な位置関係と一致することが明らかとなった。nSSR座の対立遺伝子頻度は集団間でほぼ均一であったが, cp DNAハプロタイプの地理的分布には構造が認められた。この差異はcpDNAと核DNAの遺伝様式に起因する遺伝子流動率の違いを反映していると考えられる。

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top