日本森林学会誌
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総説
マツ材線虫病にみる病原体と伝播昆虫, それらを取り巻く菌類の関係
前原 紀敏
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2012 年 94 巻 6 号 p. 283-291

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抄録

マツ材線虫病の病原体であるマツノザイセンチュウは, マツノマダラカミキリ成虫によってマツ類枯死木から健全木へと伝播される。このマツノザイセンチュウとマツノマダラカミキリの関係には, 菌類が深く関わっている。すなわち, 材内菌類が枯死木におけるマツノザイセンチュウの密度に影響を及ぼす結果, マツノマダラカミキリがその枯死木から持ち出すマツノザイセンチュウの数が, これらの菌類に大きく左右される。また, 昆虫病原菌がマツノマダラカミキリに感染すると, カミキリムシ虫体から健全木へのマツノザイセンチュウの伝播が影響を受ける。そして, これらのことが最終的に, マツ材線虫病という流行病の動向を左右しうることになる。そのため, 環境への影響が少ない防除法として, 菌類をうまく制御し利用する防除法が, マツノザイセンチュウおよびマツノマダラカミキリに対して開発されつつある。

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© 2012 一般社団法人 日本森林学会
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