夏季植栽におけるコンテナ苗の優位性を検証するため,スギ挿し木コンテナ苗 (1年生および当年生) とスギ挿し木裸苗を9月に植栽し,植栽直後の生理的ストレスと植栽後1年間の成長を比較した。裸苗の水ポテンシャルは植栽直後に大きく低下し,その後1カ月間,コンテナ苗よりも低い値で推移した。しかし,水ポテンシャルの低下は,枯死に至る致命的なストレスとはならなかった。植栽当年の苗高は1年生コンテナ苗で最も大きく,次いで当年生コンテナ苗であり,裸苗が最も小さかったが,植栽翌年には裸苗の伸長成長量が最も大きかったことから,植栽1年後の裸苗と当年生コンテナ苗には苗高差がみられなくなった。また,植栽時は苗の地上部および地下部の各器官の配分が苗種間で異なっていたが,植栽1年後には差がなくなった。さらに,植栽当年は1年生コンテナ苗で傾斜被害が多く,裸苗では主軸先端の萎れや枯れがみられ,健全苗の割合に苗種間で差が生じていたが,植栽1年後には差がみられなくなった。以上のことから,コンテナ苗は裸苗よりも乾燥に対する耐性が強いと考えられたが,今回の乾燥条件においては,夏季植栽におけるコンテナ苗の優位性は示されなかった。