熊本県阿蘇地域の定期的に間伐が実施されているヒノキ高齢人工林2林分において,それぞれプロットを設定し(プロット A,89年生;プロットB,92年生;2013年時点),2014年と2015年に遮断率(林外雨量に対する遮断蒸発量の割合)を観測した。これらのプロットにおける林分密度は,プロットAでは522本ha-1,プロットBでは356本ha-1であり,日本の針葉樹人工林における遮断蒸発に関する研究ではもっとも低かった。観測された2014年と2015年における遮断率は,プロットAでは8.0,12.1%,プロットBでは11.2,13.9%であった。先行研究での結果に今回の観測結果を加えた49個のデータを用いて求めた日本の針葉樹人工林における林分密度と遮断率との関係は,直線式よりもむしろ指数式によって良く表現できることがわかった。以上の結果は,森林の管理が水資源に及ぼす影響を評価する上で有効である。