日本林學會誌
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葉の構造より區別せられたるハヒマツの諸型と其の分布(豫報)
石井 盛次
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1938 年 20 巻 6 号 p. 309-324

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抄録

1) 針葉の中央横斷面に認められる特徴によつて,ハヒマツを他の總てのマツ屬と區別することが出來る。
2) 2, 3年生針葉の中央横斷面に現はれる樹脂道の數と位置とによつて,我國に分布するハヒマツを諸種の型に分けることが出來る。更にこれら諸型の有する著しき特微と,その生育地とを結び付けて考へることによつて,之を南北兩型に大別することが出來る。
3) 南方型ハヒマツは本州中央山脈より青森縣八甲田山に迄分布してゐる。尚材料が不充分であつたが朝鮮金剛山のものも南方型と認められた。
4) 北方型ハヒマツは,北海道石狩平野以北(東北),樺太に及んでゐることは確かである。(日高山脈と千島は未調査)
5) 所謂石狩低地帯によつて劃された西南北海道の内 手稻山,樽前山,羊蹄山,横津岳のものは,北方型と認められる。但し多少考慮の餘地がある。
6) 惠山のハヒマツは南北兩型が混淆してゐる様である。尚調査を要する。
7) 南北兩型の相違は針葉の長さにもあらはれる。肉眼的には,北方型の針葉は細長く弱々しき感あるに反し,南方型のそれは短太且剛直の感がある。統計によつて,兩者の相違は太さに於てではなくして,長さに於てのみ著しくく存在することが分つた。

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