日本林学会誌
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シイタケの害虫,セモンホソオオキノコムシの生活環
大谷 英児
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1993 年 75 巻 1 号 p. 10-15

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抄録

生シイタケの害虫として最近問題となっているホソオオキノコムシ属の2種のうち今回は,セモンホソオオキノコムシの生活環を,生シイタケを誘引餌としたトラップへの飛来消長調査と屋外飼育によって明らかにした。セモンホソオオキノコムシは幼虫および成虫で越冬に入るが,幼虫の多くは越冬中に死亡する。越冬成虫は5月上旬に歩行によりシイタケへ到達し産卵する。この卵から発育した1化成虫は8月にシイタケに大量に飛来し,産卵後に死亡する。この卵から発育した2化成虫は9月中旬に羽化し,ほとんど飛来はしないが産卵はする。そしてその卵から発育した老熟幼虫とともに越冬に入る。このことから本種は主に年2化性であることがわかった。以上の結果をもとに,先に報告したニホンホソオオキノコムシの生活環と比較考察した。

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