日本林学会誌
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択伐施業後における渓流水に含まれる微細土濃度の変化
佐藤 弘和寺澤 和彦
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2004 年 86 巻 4 号 p. 349-357

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抄録
2001年の冬に択伐が行われた森林小流域 (流域面積9.2ha) において, 2001年6月~2002年11月までの渓流水中の微細土(TFS) とその有機成分 (OFS) の濃度変化を測定し, 択伐前 (1997年6~7月) および無施業流域の濃度と比較した。伐採流域におけるTFS濃度とOFS濃度の平均値は, それぞれ択伐前の値に比べて有意に高かった。伐採実施年における伐採流域のTFS濃度は, 無施業流域に比べて有意に高かった。TFS濃度に占める有機成分濃度の割合 (OFS割合) は, 択伐前後ともに流量があるしきい値を超えたときに値が収束する傾向を示した。増水時のOFS割合は, 択伐前に比べて択伐後に小さくなった。択伐後の流路状況の観察から, 択伐施業にともなうTFS流出のうち, 特に無機成分の流出促進は主に渓流流路直近での集材路敷設にともなう堆積土砂に起因すると推察された。
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