総合病院精神医学
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原著
ECTにおける有効な発作誘発のaugmentation
上田 諭石坂 公介坂寄 健下田 健吾大久保 善朗
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2010 年 22 巻 2 号 p. 153-161

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抄録
電気けいれん療法(ECT)で臨床効果を十分得るためには,発作の有効性を主に脳波によって評価し,それを基に「治療閾値」を超える刺激用量設定をすることが重要である。しかし,けいれん閾値の上昇によって刺激用量を最大に設定しても有効な発作が誘発できなくなった場合,発作増強augmentationが考慮される。今回,有効な発作が生じなくなったため,augmentationとして,より発作時間を短くしないと考えられる麻酔薬への変更,ベンゾジアゼピン系薬剤(BZ)使用例に対するBZ拮抗薬flumazenilの麻酔前投与,発作時間延長を促すためのtheophylline徐放剤の前日夕投与をそれぞれ行った3例(大うつ病性障害2例,双極性障害1例)を,発作モニター記録とともに呈示した。いずれも有効な発作が誘発されるようになり,有害事象も生じなかった。APAのECT Task Force Reportでは,これらのaugmentationの有効性について見解は定まっていないが,本例では有効で安全な方法であることが示唆された。主に米国ではaugmentationについて多くの研究があるが,本邦では少なく,theophyllineの報告は初めてと思われる。さらに,ECTのaugmentationの目的は単なる運動発作誘発や発作時間の確保ではなく,脳波所見を中心に判定される有効な発作の誘発であることを強調した。
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© 2010 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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