2014 年 26 巻 4 号 p. 382-388
日本の地域ケアでは周産期の精神疾患は少なくない。しかし,精神疾患の適切な検出と治療は十分ではない。先進的な周産期のメンタルヘルスは,健康増進,予防,早期介入という点からみて,地域のリエゾン精神医療サービスの質の高さと関連する。こうしたサービスには,地域の母子保健と精神保健行政間における相互の円滑な連携が重要である。しかし,母子保健行政と精神保健行政の縦割りの構造が今日でも大きな壁となり,周産期メンタルヘルスの分野では大きな課題となっている。こうした状況では,産科医,助産師,保健師,社会福祉の専門家と協働しながら,精神科医によるメンタルヘルスの評価と容易な介入ができれば,周産期メンタルヘルスの重要な戦略の1つになる。本稿では,事例を用いてプライマリケア地区における周産期のメンタルヘルスの管理のためのケアプラン作りの方法について概説する。