2015 年 27 巻 2 号 p. 100-106
超高齢社会を迎えたわが国において,認知症患者の身体疾患治療は医療上の大きな課題である。今後のわが国における認知症患者の身体疾患治療の対策を考える基礎とするため,一般病床高齢入院患者の認知症有病率を調べることを目的として,総合病院精神医学会認知症委員会で多施設共同研究を行った。本稿ではその結果について報告する。委員の所属する病院で一般病床高齢者入院患者を対象に,高齢者総合機能評価:comprehensive geriatric assessment(以下「CGA」)の認知項目,認知症診断歴の有無,抗認知症薬投与有無,レセプト上認知症関連疾患病名有無を調査し,認知症患者の頻度を推定した。同手法では一般病床入院患者の17.5〜52.3%が認知症の可能性があると推定された。