2015 年 27 巻 2 号 p. 139-144
疾患のリスク因子を検討するために用いられる観察研究の一つにコホート研究がある。現時点で研究対象者を集め,将来に向かって追跡調査するのが前向きコホート研究であり,より質の高い研究にするためには研究からの脱落を予防する工夫が必要になる。現在当施設では「急性冠症候群に続発する心的外傷後ストレス障害の栄養学的危険因子を検討する前向きコホート研究」を精神科,循環器内科共同で実施している。本稿ではコホート研究からの脱落を防ぐための精神科と身体科との連携の工夫について検討した。研究参加者の半数以上を占める高齢者に特に配慮し,入院期間に応じた迅速な対応を取り,退院後の脱落を防ぐため定期的に連絡を取ることが重要であると考えられた。研究参加者の負担軽減のため,研究目的用の採血は身体科採血に合わせて同時に実施し,精神科の面接調査は身体科の通院,入院の都合に合わせて実施するなどの工夫も有用と考えられた。