総合病院精神医学
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総説
周産期に新たに生じる精神科的問題への介入
─精神科医に求められる役割─
菊地 紗耶小林 奈津子本多 奈美松岡 洋夫
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2015 年 27 巻 3 号 p. 212-218

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抄録

周産期に新たに生じる精神医学的問題は,周産期特有の疾患である産褥精神病,周産期うつ病に加え,産科的合併症や児の入院,perinatal lossに伴う反応性の病態が主である。周産期以前の精神医学的問題が,この時期に初めて医療者により気づかれることもある。精神疾患について,その出現に関わるリスク因子を知り,リスク因子を有する妊産婦を同定し,予防的・治療的介入をすることが有用である。周産期におけるメンタルヘルスは,精神科医だけでなく,助産師,看護師,保健師,産科医,小児科医が関わるため,多職種連携が不可欠である。精神科医が妊産婦への適切な診断,治療選択,心理教育を行い,育児支援体制へ配慮することと,多職種連携に積極的に関与すること,スタッフへ精神疾患の知識や精神疾患を有する妊産婦への対応方法などを教えることや,心理的援助をすることも重要な役割である。

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© 2015 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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