2017 年 29 巻 1 号 p. 24-29
関西医科大学総合医療センター救命救急センターでは,2013年11月より同一医療圏内にある4カ所の精神科病院を,当センターの救急医が毎週回診する取り組みを行っている。われわれは,この取り組みが救命救急センターと精神科病院の連携にどのような影響を与えているのかを調査した。回診システムを導入する以前の2010年4月から2013年10月までの3年半を前期間,導入後の 2013年11月から2015年10月までの2年間を後期間と区分した。この期間で,全受け入れ患者における精神科関連患者の割合と内訳,自殺未遂患者の治療後の転帰,精神疾患既往のある身体合併症患者の搬送依頼元を後方視的に比較検討した。後期間では,精神科既往のある身体合併症患者の受け入れ数および自殺未遂患者の精神科病院への転院数が有意に増加していた。このことから回診システムを導入することで,救命救急センターと精神科病院の連携が深まったと考えた。