42 巻 (2009) 10 号 p. 1585-1590
症例は73歳の男性で,急性腹症にて来院された.造影CTにて上腸間膜静脈血栓症と診断されたが,腸管壊死所見を認めなかったため,まずは血栓溶解療法(ヘパリンおよびウロキナーゼの末梢静脈からの全身投与)を開始した.血栓の溶解を得たが,瘢痕性小腸狭窄による腸閉塞と小腸穿通からの膿瘍形成を認めたため,イレウス管による減圧と抗生剤投与による感染コントロールを行った後,待機的に小腸部分切除術およびS状結腸部分切除術を行った.術後経過は良好で,現在外来にてワーファリン投与中であるが,再発は認めていない.Superior mesenteric vein血栓症は比較的まれな疾患ではあるが,保存的治療を行った場合,本症例のように小腸狭窄などを来すこともある.本症例は穿通による腹腔内膿瘍も合併したが,保存的治療にてイレウスおよび感染のコントロールが可能であったため,安全に待機的手術を施行することができた.若干の文献的考察を加え報告する.